第29話「かくとうポケモン! だいバトル!」と、1997年10月14日の記憶。

第1-82話(カントー編)

秋の風が冷たさを増し、夕暮れの早さに少しの寂しさを感じ始めた10月中旬。
火曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、リング上の熱い戦いと「才能を信じて手放す」という大人の愛情に触れていた。


第28話「ロコン! ブリーダー対決!」と、1997年10月7日の記憶。
秋風が冷たさを増し、夕暮れの時間が一段と早くなった10月の初め。火曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、命を預かる者の「本当の愛情」について深く考えさせられていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第28話は、バトルで勝つことだけがポケモ…
第30話「コイルはでんきネズミのユメをみるか!?」と、1997年10月21日の記憶。
秋も深まり、夕暮れの空気がひんやりと冷たさを増してきた10月下旬。火曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、無機質な工業都市で起きた「少しドライでSF的な恋の錯覚」を見つめていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第30話は、フィリップ・K…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第29話は、格闘ポケモン限定の大会「P1グランプリ」を舞台にした熱血スポーツもののアプローチを取りながら、結末において「指導者としての究極の愛情」を描いた名作である。サトシとオコリザルは、ロケット団の卑劣な反則や強力なライバルたちを、怒りのエネルギーと深い絆で打ち破り、見事に優勝を果たす。しかし、物語の真のハイライトは、栄光のリングを降りたその後に待っていた。

優勝後、格闘技の才能を見出されたオコリザルは、専門の道場を開くアンソニーから「預からせてほしい」とスカウトされる。第25話で激しい衝突の末にゲットしたばかりのパートナー。しかしサトシは、自分の手元に置いておくよりも、専門家の元で才能を磨く方が彼のためになると悟り、涙を堪えてオコリザルを預ける決断を下すのだ。

バタフリーとの別れが「自然の摂理(繁殖)」に従ったものだったのに対し、オコリザルとの別れは「才能の開花と自己実現」を願う、極めて教育的で成熟した手放しである。自分の所有欲を満たすことよりも、相手の未来を信じて背中を押す。チャンピオンベルトを巻き、誇らしげにサトシを見つめるオコリザルの姿は、当時の僕たちに「本当の愛情とは、相手の成長のためにあえて手を離すことだ」と、静かに、しかし力強く教えてくれたのである。

🕰️ 1997年10月14日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • 「PRIDE.1」の開催と格闘技ブーム:直前の1997年10月11日、東京ドームで総合格闘技イベント「PRIDE.1」が開催され、ヒクソン・グレイシーと高田延彦が激突。日本中が格闘技の熱狂に包まれ、奇しくもアニポケの「P1グランプリ」と完璧にリンクする時代の空気があった [1]。
  • 臓器移植法の施行:この直後の1997年10月16日、脳死を人の死と認める「臓器移植法」が施行。長年の倫理的議論を経て、日本の医療史における極めて重大な一歩を踏み出した時期である [2]。
  • 土星探査機カッシーニの打ち上げ:翌1997年10月15日、アメリカ航空宇宙局(NASA)などが共同開発した土星探査機カッシーニが打ち上げられた。宇宙の未知なる領域への挑戦が、ニュースで大きく報じられていた [3]。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:Liar! Liar!/B’z
  • 2位:キャンドル・イン・ザ・ウインド 〜ダイアナ元英皇太子妃に捧ぐ/エルトン・ジョン
  • 3位:HOWEVER/GLAY
    (1997年10月20日付オリコンチャートより推計)
    B’zのデジタルロックナンバーが初登場首位を獲得。ダイアナ元妃の追悼シングルや、GLAYのミリオンセラーバラードが上位に並び、J-POP黄金期の秋をドラマチックに彩っていた [4]。

街で流行っていたもの

  • K-1・PRIDEなどの格闘技熱:テレビのゴールデンタイムで格闘技番組が頻繁に放送されるようになり、小学生の男子たちの間でもプロレスごっこや格闘技の話題が休み時間の中心になりつつあった。
  • ポケモンカードの対戦環境の成熟:秋になり、子供たちの間で独自のデッキ構築や対戦が本格的に盛り上がりを見せていた。エビワラーやサワムラーといった格闘タイプのカードも「一撃の重さ」で人気を集めていた。

あの日の続きを、もう一度。

栄光のリングと、才能を開花させるための別れ。所有欲を手放し、相手の未来を応援したサトシの成長。大人になった今、あの日の熱いP1グランプリの結末を、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第29話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] PRIDE (格闘技イベント) – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/PRIDE_(%E6%A0%BC%E9%97%98%E6%8A%80%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88)
[2] 10月16日は「グリーンリボンデー」です – 日本臓器移植ネットワーク: https://www.jotnw.or.jp/news/20191016_454.html
[3] カッシーニ – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%8B
[4] Liar! Liar! – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Liar!_Liar!

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