第31話「ディグダがいっぱい!」と、1997年10月28日の記憶。

第1-82話(カントー編)

10月も終わりに近づき、木枯らしの冷たさに冬の足音を少しずつ感じ始めた火曜日。
僕たちはブラウン管の前で、人間の身勝手な開発と、それに抗う小さな命たちの「無言のストライキ」を見つめていた。


第30話「コイルはでんきネズミのユメをみるか!?」と、1997年10月21日の記憶。
秋も深まり、夕暮れの空気がひんやりと冷たさを増してきた10月下旬。火曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、無機質な工業都市で起きた「少しドライでSF的な恋の錯覚」を見つめていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第30話は、フィリップ・K…
第32話「セキチクにんじゃやしき!」と、1997年11月4日の記憶。
11月に入り、日が落ちるのがすっかり早くなった火曜日の夕暮れ。少し冷え込んだ部屋の中で、僕たちはブラウン管に映る巧妙なからくりと、見えないものを見極める「忍びの哲学」に夢中になっていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第32話は、視覚的な罠や…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第31話は、アニポケにおける「人間と自然の共存」というテーマを、暴力やバトルではなく「サボタージュ(不服従)」という極めて知的な方法で描いた名作である。山奥に巨大なダムを建設しようとする人間たちに対し、ディグダとダグトリオは徒党を組んで工事の邪魔をする。ディグダ退治に雇われたサトシたちや、シゲルをはじめとする多くのトレーナーがモンスターボールを投げるが、なんとポケモンたちはボールから出ることを断固として拒否するのだ。

この「ポケモンが人間の命令を無視する」という描写は、アニポケの世界観において極めて重要な意味を持つ。彼らは単なる人間の所有物や、命令通りに動く兵器ではない。ポケモンたちは、ディグダたちが森の木々を育て、自然を守るために土を耕しているという「自然界の摂理」を本能的に理解しており、それを破壊しようとする人間の間違ったエゴには従わないという、独立した倫理観と連帯の意志を持っているのだ。

最終的に、人間たちは己の非を悟り、ダム建設を中止して自然のままの森を残すことを決断する。「メノクラゲドククラゲ」の回が自然の怒りと報復を描いたのに対し、今回は「戦わないこと」で自然を守り抜いた。人間がどれほど科学力や権力を持とうとも、大自然の意志の前では無力であるという事実。それは、当時の僕たちに「本当の正しさとは何か」を静かに、しかし力強く問いかけていたのである。

🕰️ 1997年10月28日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • 世界同時株安(ブラックマンデーの再来):まさに前日の1997年10月27日、アジア通貨危機の影響がアメリカに波及し、ダウ平均株価が過去最大の下げ幅を記録。日本でも株価が急落し、平成不況のどん底へと向かう世界的金融不安が社会全体を重く覆い始めていた [1]。
  • ヤクルトスワローズが日本一:直前の1997年10月23日、プロ野球日本シリーズで野村克也監督率いるヤクルトスワローズが西武ライオンズを4勝1敗で下し、2年ぶり4度目の日本一に輝いた。古田敦也捕手の活躍が光ったシリーズであった [2]。
  • 長野新幹線開業からの1ヶ月:10月1日に開業した長野新幹線が初めての紅葉シーズンを迎え、東京と信州を結ぶ新たな大動脈として多くの観光客で賑わっていた。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:White Love/SPEED
  • 2位:Wanderin’ Destiny/globe
  • 3位:Liar! Liar!/B’z
    (1997年11月3日付オリコンチャートより推計)
    SPEEDの最大のヒット曲となる冬のウインターソング「White Love」が初登場首位を獲得し、圧倒的なミリオンセラーへの道を歩み始める。小室ファミリーのglobeや、B’zのデジタルロックが上位に並び、J-POP黄金期の冬の始まりを告げていた [3]。

街で流行っていたもの

  • たまごっち「オスっちメスっち」への期待:たまごっちブームが続く中、通信機能で結婚と繁殖ができる新機種が年末に発売を控え、秋の時点ですでにおもちゃ屋での予約や子供たちの間での話題が沸騰していた。
  • ハイパーヨーヨーのトリック認定:秋も深まり、おもちゃ屋で開催される「認定会」でトリック(技)を披露し、公式の認定証やステッカーをもらうことが小学生男子の大きなステータスとなっていた。

あの日の続きを、もう一度。

人間のエゴによる自然破壊と、モンスターボールから出ることを拒否したポケモンたちの「無言のストライキ」。戦わないことで守り抜いた、命の森。大人になった今、あの日のディグダたちの静かな抵抗を、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第31話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] アジア通貨危機 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%8D%B1%E6%A9%9F
[2] 1997年の日本シリーズ – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/1997%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
[3] 1997年の音楽 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/1997%E5%B9%B4%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD

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