第43話「ナッシーぐんだん だいこうしん!」と、1998年5月7日の記憶。

第1-82話(カントー編)

ゴールデンウィークが明け、少し気怠い空気が教室に漂っていた5月上旬の木曜日。
僕たちはブラウン管の前で、無理な進化がもたらすパニックと「反抗期」というほろ苦い現実に直面していた。


第42話「たいけつ! ポケモンジム!」と、1998年4月30日の記憶。
春の陽気が本格化し、もうすぐ始まるゴールデンウィークの連休に胸を躍らせていた4月の終わり。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、ピカチュウの愛らしい仕草と、大人の身勝手な争いを成敗する痛快な活劇に夢中になっていた。あの日、僕たちが受…
第44話「パラスとパラセクト」と、1998年5月14日の記憶。
5月中旬。初夏の風が心地よく吹き抜け、教室の窓を開け放つのが日常になった頃。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、大人の過保護な「やらせ」と、臆病な小さな命が自分の殻を破る瞬間に笑い、そして応援していた。あの日、僕たちが受け取ったも…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第43話は、時代遅れの手品師の悲哀と、サトシのパートナーであるヒトカゲの「進化に伴う反抗期」を描いた、非常に示唆に富んだエピソードである。手っ取り早く人気を得ようとタマタマに催眠術をかけ、無理やりナッシーに進化させたマジシャンのアキラ。その結果、ナッシーの群れは催眠状態のまま暴走し、街を破壊しながら大行進を始めてしまう。安易な方法で力を手に入れようとする大人の愚かさが、コントロール不能なパニックを引き起こすという展開だ。

そして、その暴走を止めるために奮闘したヒトカゲは、ついにリザードへと進化を遂げる。しかし、強大な力を手に入れたリザードは、サトシの命令を無視して火炎放射を浴びせ、そっぽを向いてしまうのだ。これは、ゲーム版における「バッジが足りないとレベルの高いポケモンが言うことを聞かない」というシステムのアニメ的な解釈であるが、同時に「成長に伴う自我の芽生え」と「親離れ(反抗期)」のリアルなメタファーでもある。

これまで無邪気に従っていたパートナーが、強さを得た途端に自分を対等以上の存在とみなし、コントロールから外れていく。それは、ペットではなく「独立した意思を持つ生き物」としてポケモンを描き続けるアニポケの真骨頂であった。あの日のリザードの冷たい視線に、僕たちは「成長とは、時に寂しさを伴うものだ」と教えられたのである。

🕰️ 1998年5月7日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • hideの告別式:まさにこの日、1998年5月7日、5月2日に急逝した元X JAPANのギタリスト・hideの告別式が築地本願寺で営まれた。数万人のファンが詰めかけ、日本中が深い悲しみとパニックに包まれた歴史的な日である [1]。
  • 初代「iMac」の発表:現地時間の1998年5月6日(日本時間7日)、スティーブ・ジョブズ率いるAppleが初代「iMac」を発表。トランスルーセント(半透明)の画期的なデザインは、その後の世界的なスケルトンブームの火付け役となった [2]。
  • ゴールデンウィーク明けの日常:5月7日は大型連休が明けて学校や仕事が再開された時期。同時に、インドネシアでの暴動激化など、アジアの不安定な情勢が連日ニュースで報じられていた [3]。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:誘惑/GLAY
  • 2位:SOUL LOVE/GLAY
  • 3位:ジェットコースター・ロマンス/KinKi Kids
    (1998年5月11日付オリコンチャートより推計)
    GLAYが2枚のシングルを同時リリースし、チャートの1位と2位を独占するという歴史的な快挙を達成。J-POP黄金期のエネルギーが頂点に達していた時代である [4]。

街で流行っていたもの

  • スケルトンデザインの兆し:iMacの発表に呼応するように、たまごっちやゲーム機、文房具に至るまで、中身が透けて見える「スケルトン仕様」が若者の間で最もクールなデザインとして大流行していく。
  • ハイパーヨーヨーの超絶技巧:ブームは成熟期を迎え、ただの犬の散歩から「ループ・ザ・ループ」などの高度なトリック(技)を競い合う段階へ。小学生男子の指には、ヨーヨーの紐でできたタコがあった。

あの日の続きを、もう一度。

安易な進化がもたらしたナッシーの暴走と、強さを得たリザードの冷たい視線。成長と反抗期がもたらす、ほろ苦い現実。大人になった今、あの日の遊園地での大パニックを、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第43話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] hide – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/hide
[2] iMac – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/IMac
[3] 1998年の日本 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/1998%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
[4] Template:オリコン週間シングルチャート第1位 1998年 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1998%E5%B9%B4

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