第59話「けっせん! グレンジム!」と、1998年8月20日の記憶。

第1-82話(カントー編)

夏休みの終わりが見え始め、少しの焦燥感と甲子園の熱闘に日本中が釘付けになっていた8月下旬。
木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、コントロールできない強大な力と、己のプライドだけを信じて空を舞う炎の竜の姿に熱狂していた。


第58話「もえろ! グレンジム!」と、1998年8月13日の記憶。
8月中旬。お盆の帰省ラッシュのニュースと、テレビから聞こえる甲子園のサイレン。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、勝利よりも大切な「勇気ある撤退」の重みを見つめていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第58話は、観光地化による本質の…
第60話「カメックスのしま」と、1998年8月27日の記憶。
夏休みも残りわずかとなり、手つかずの宿題の山と夕立の激しさに夏の終わりを感じていた8月下旬。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、巨大なカメックスたちを眠らせた「小さな元凶」に笑い、平和な島の騒動に癒されていた。あの日、僕たちが受け…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第59話は、親(トレーナー)のコントロールを離れて自立した「圧倒的な強者」とどう向き合うかを描いた、極めて熱く、そしてほろ苦いエピソードである。ロケット団のミサイルによって火山が噴火の危機に陥った際、カツラのポケモンとサトシのポケモンたちは協力して岩でマグマを塞ごうとする。その時、サトシの命令を無視して昼寝をしていたリザードンが、ブーバーの凄まじい力を見て対抗心を燃やし、自らの意思で岩運びに加わるのだ。

そして舞台は、火口の真上での1対1の決戦へ。リザードンはサトシのために戦うのではない。ただ「目の前の強敵(ブーバー)を倒したい」という己の闘争心とプライドのためだけに空を舞い、炎を吐く。サトシは必死に指示を出すが、リザードンはそれを意に介さず、最後は空中からの「ちきゅうなげ」でブーバーをねじ伏せる。見事にクリムゾンバッジを手に入れたものの、リザードンとサトシの間に「心からの絆」が結ばれたわけではなかった。

圧倒的な才能や自我を持つ他者を、無理に自分の枠に収めようとしたり、支配しようとしたりしてはいけない。親の手を離れた子供が、自分の意思で結果を出す姿をただ見守るしかないという「自立と畏敬」のテーマ。リザードンという強大すぎるパートナーの存在は、サトシの冒険が単なる仲良しごっこではなく、他者の自我と向き合う厳しい試練であることを、僕たちに突きつけていたのである。

🕰️ 1998年8月20日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • 横浜対PL学園の伝説の死闘:まさにこの日、1998年8月20日。第80回夏の甲子園準々決勝で、横浜高校の松坂大輔がPL学園を相手に延長17回、250球を投げ抜き勝利。日本野球史に永遠に語り継がれる死闘が繰り広げられていた [1]。
  • アメリカのミサイル報復攻撃:同じく1998年8月20日、ケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破事件への報復として、米軍がアフガニスタンとスーダンのテロ関連施設に巡航ミサイル(トマホーク)を発射。国際社会の緊張が一気に高まった歴史的な日である [2]。
  • 平成の金融危機の影:長引く不況と金融不安の中、日本長期信用銀行(長銀)の経営危機が表面化。大人たちの間では日本経済への不安が深刻化しており、夏休みの空気の底流に暗い影を落としていた。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:全部だきしめて/青の時代/KinKi Kids
  • 2位:HONEY/L’Arc〜en〜Ciel
  • 3位:冷たい花/the brilliant green
    (1998年8月24日付オリコンチャートより推計)
    KinKi Kidsのミリオンセラー曲が首位をキープ。社会現象となっていたラルクのメガヒット曲や、ブリグリの気怠くも美しいロックが上位に並び、J-POP黄金期の夏が最高潮のエネルギーを放っていた [3]。

街で流行っていたもの

  • NINTENDO64『ポケモンスタジアム』の熱狂:8月1日に発売され、夏休みの小学生男子の遊びの主役になっていた。3Dで動くリザードンの「ちきゅうなげ」や「だいもんじ」の迫力に、テレビの前で子供たちが熱狂していた。
  • 映画『ミュウツーの逆襲』のメガヒット:夏休み後半になっても映画館の勢いは衰えず。劇中で描かれたリザードンと、ミュウツーのコピーリザードンとの激しい肉弾戦も、ファンの間で大きな話題となっていた [4]。

あの日の続きを、もう一度。

コントロールできない才能と、己のプライドのためだけに空を舞った炎の竜。サトシがただ見守るしかなかった、強者同士の激突。大人になった今、あの日の灼熱の火口での決戦を、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第59話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] PL学園対横浜延長17回 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/PL%E5%AD%A6%E5%9C%92%E5%AF%BE%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%BB%B6%E9%95%B717%E5%9B%9E
[2] トマホーク (ミサイル) – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
[3] Template:オリコン週間シングルチャート第1位 1998年 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1998%E5%B9%B4
[4] 劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%87%E5%A0%B4%E7%89%88%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC_%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%83%84%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%80%86%E8%A5%B2

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