第69話「なみのりピカチュウのでんせつ」と、1998年10月22日の記憶。

第1-82話(カントー編)

秋が深まり、木枯らしが吹き始めた10月下旬。
木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、季節外れの真夏の海と、20年に一度の「伝説の波」に挑むサーファーとピカチュウの熱いロマンに胸を焦がしていた。


第68話「ヤドンがヤドランになるとき」と、1998年10月15日の記憶。
秋の長雨が街を濡らし、少しずつ冬の足音が近づいてきた10月中旬。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、のんびりとしたポケモンたちが織りなす「進化の神秘」と、笑いに包まれた海辺のバカンスを見つめていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第…
第70話「しょくぶつえんのクサイハナ」と、1998年10月29日の記憶。
秋も深まり、夕暮れの早さと冷たい風に冬の気配を感じ始めた10月の終わり。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、他人の期待に応えることよりも「ありのままの自分」でいることの強さと美しさに触れていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第70…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第69話は、ポケモンという存在を「バトル」や「ゲット」の対象としてだけでなく、大自然の脅威に共に挑む「同志」として描いた、極めてロマンチシズムに溢れるエピソードである。舞台はビンバッジという老サーファーが住む海辺の町。彼は20年に一度やってくる伝説の大波「ビッグ・チューズデー」に乗るためだけに、青い目をした相棒の「なみのりピカチュウ(マイケル)」と共に、ひたすら海を見つめ続けてきた。

この物語が美しいのは、ビンバッジがマイケルをモンスターボールに一切入れず、対等なサーファーとして扱っている点だ。そしていよいよ伝説の波が到来した時、彼らは命がけで海へと漕ぎ出す。荒れ狂う大自然の力は圧倒的であり、ロケット団の潜水艦すらも一瞬で飲み込んでしまう。しかしビンバッジとマイケルは、その波を力任せに「征服」するのではなく、波と「調和」することで見事に波頭を滑り降りるのだ。

波に乗り終えた後、ビンバッジのサーフボードは真っ二つに折れ、彼自身も「もう波に乗ることはない」と引退をほのめかす。しかし、彼の顔には後悔など微塵もなく、すべてをやり遂げた男の晴れやかな笑顔があった。一つの夢に人生を懸けることの尊さと、それを隣で支え続けた青い目のピカチュウ。ゲームの隠し要素であった「なみのりピカチュウ」を、これほどまでに熱く、そして渋い男たちのドラマとして昇華させたこの回は、大人になった今こそ深く心に刺さる名作である。

🕰️ 1998年10月22日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • ゲームボーイカラーの発売:まさに前日の1998年10月21日、任天堂から「ゲームボーイカラー」が発売。従来のモノクロ画面から最大3万2000色以上のカラー表示へと進化し、携帯ゲーム機の歴史が大きく動いた瞬間である [1]。
  • 日本長期信用銀行(長銀)の国有化決定:この直後の10月23日、経営破綻の危機にあった長銀の一時国有化が決定。金融再生関連法案を巡る国会(金融国会)が大きな節目を迎え、平成の金融危機が日本経済を大きく揺るがしていた時期である [2]。
  • 和歌山毒物カレー事件の波紋:10月4日の林眞須美容疑者の逮捕後も、動機や真相を巡る報道が連日過熱。社会の不安と関心が集中し、テレビのワイドショーはこの話題で持ちきりであった [3]。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:forbidden lover/L’Arc〜en〜Ciel
  • 2位:snow drop/L’Arc〜en〜Ciel
  • 3位:Perfume of love/globe
    (1998年10月26日付オリコンチャートより)
    L’Arc〜en〜Cielが前週の「snow drop」に続き、シングル2週連続リリースでチャートの1位・2位を独占する歴史的快挙を達成。小室哲哉プロデュースのglobeも4週連続リリースでチャートを席巻しており、J-POP黄金期の秋が圧倒的な熱気を放っていた [4]。

街で流行っていたもの

  • なみのりピカチュウと『ポケットモンスター ピカチュウ』:9月に発売されたピカチュウ版では、特定の条件を満たすとミニゲーム「ピカチュウのサマービーチ」が遊べた。アニメとゲームの完璧な連動に、子供たちは大興奮だった。
  • ゲームボーイカラーの熱狂:発売されたばかりのゲームボーイカラーを学校に持ってくる(あるいは自慢する)小学生が続出。クリアパープルなどの「スケルトン仕様」の筐体デザインが、当時の若者にとって最もクールなアイテムであった。

あの日の続きを、もう一度。

20年に一度の伝説の大波と、それに挑んだ老サーファーと青い目の相棒。波を征服するのではなく、調和することで果たされた男たちのロマン。大人になった今、あの日の熱いビッグ・チューズデーを、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第69話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] ゲームボーイカラー – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC
[2] 日本長期信用銀行 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%95%B7%E6%9C%9F%E4%BF%A1%E7%94%A8%E9%8A%80%E8%A1%8C
[3] 和歌山毒物カレー事件 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E6%AD%8C%E5%B1%B1%E6%AF%92%E7%89%A9%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E4%BA%8B%E4%BB%B6
[4] Template:オリコン週間シングルチャート第1位 1998年 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1998%E5%B9%B4

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