新学期が始まり、新しいクラスの空気にまだ少し緊張していた4月の第2週。
火曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、傷ついたピカチュウの安否に息を呑んでいた。


あの日、僕たちが受け取ったもの
第2話は、ポケモンの世界が単なるファンタジーではなく、確固たる「社会インフラ」を持った現実味のある世界であることを僕たちに教えてくれた。サトシが駆け込んだトキワシティには、治安を守る警察官のジュンサーさんがいて、傷ついたポケモンを無償で治療してくれる医療機関のジョーイさんがいる。この世界の大人たちは、無謀な子供の冒険を頭ごなしに否定するのではなく、システムとして優しく見守り、サポートしてくれる存在として描かれていたのだ。
そして、この物語を20年以上にわたって彩ることになる「愛すべき悪役」ロケット団の初登場である。ムサシ、コジロウ、ニャースの三人は、巨大な悪の組織の末端でありながら、どこか人間臭く、滑稽で、独自の美学を持っていた。彼らがサトシのピカチュウの規格外の雷撃に魅了され、「あんな珍しいポケモンは我々が手に入れるべきだ」と決意するこの夜が、果てしなく続く彼らの追いかけっこの原点となる。
また、カスミの自転車がピカチュウの電撃で黒焦げになるというアクシデントは、「弁償」という極めて現実的な理由で彼女がサトシの旅に同行する口実となった。運命的な導きなどではなく、ちょっとしたトラブルと理不尽から始まるボーイ・ミーツ・ガール。そんな泥臭さもまた、このアニメが等身大の群像劇として長く愛された理由の一つだろう。
🕰️ 1997年4月8日 のタイムカプセル
あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。
当日の重大ニュース
- 消費税5%社会の始まり:4月1日に消費税が3%から5%に引き上げられ、社会が新しい価格設定や1円玉のやり取りに戸惑いながら適応しようとしていた時期 [1]。
- フジテレビがお台場へ移転:1997年4月、フジテレビが新宿区の河田町から港区台場の新社屋に移転し、本放送を開始。球体展望室を持つ特徴的なビルは、新たな東京のシンボルとなった [1]。
- ペルー日本大使公邸占拠事件の膠着:前年12月に発生した占拠事件は、4月上旬時点でも解決の糸口が見えず緊迫した状態が続いていた(この約2週間後の4月22日にペルー政府軍による武力突入が行われる) [2]。
今週の音楽チャート(トップ3)
- 1位:本気がいっぱい/V6
- 2位:Go! Go! Heaven/SPEED
- 3位:CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵
小室哲哉プロデュースの楽曲や、若さとエネルギーに溢れるダンスボーカルグループがチャート上位を独占。1997年の音楽シーンを力強く牽引していた [3]。
街で流行っていたもの
- プリント倶楽部(プリクラ):1995年の登場から徐々に火がつき、1997年には女子中高生を中心に社会現象レベルのブームに。「プリ帳」を持ち歩き、友達と交換するのが日常のコミュニケーションの基本となっていた [4]。
- G-SHOCKブーム:カシオの耐衝撃腕時計「G-SHOCK」が若者の間で大流行。特に「イルカ・クジラモデル」などの限定品はプレミア価格で取引され、ストリートファッションの必須アイテムとしての地位を確立していた [4]。
あの日の続きを、もう一度。
自転車を焦がされ怒るカスミ、そして謎の美学を持つロケット団。役者が揃い始めたこの第2話から、本当の意味での「旅」が始まった。大人になった今、あの日のトキワシティの夜をもう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第2話を視聴する(Amazon Prime Video等)]
Sources(出典リスト)
[1] 1997年の日本 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/1997%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
[2] 在ペルー日本大使公邸占拠事件 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%BC%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E4%BD%BF%E5%85%AC%E9%82%B8%E5%8D%A0%E6%8B%A0%E4%BA%8B%E4%BB%B6
[3] 1997年のオリコンチャート – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1997%E5%B9%B4
[4] 1997年(平成9年)流行・出来事 – 年代流行: https://nendai-ryuukou.com/1990/1997.html


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