第71話「ポケモン・ザ・ムービー!」と、1998年11月5日の記憶。

第1-82話(カントー編)

11月に入り、木枯らしが吹き抜け、冬の足音が確かな寒さとなって街を包み始めた木曜日の夕暮れ。
僕たちはブラウン管の前で、予定調和をぶっ壊す「マヌケな才能」と、映画製作の裏側に潜むカオスな熱量に大笑いしていた。


第70話「しょくぶつえんのクサイハナ」と、1998年10月29日の記憶。
秋も深まり、夕暮れの早さと冷たい風に冬の気配を感じ始めた10月の終わり。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、他人の期待に応えることよりも「ありのままの自分」でいることの強さと美しさに触れていた。あの日、僕たちが受け取ったもの第70…
第72話「ニャースのあいうえお」と、1998年11月12日の記憶。
11月中旬。木枯らしが吹き抜け、クローゼットから冬のコートを引っ張り出した木曜日の夕暮れ。僕たちはブラウン管の前で、愛すべき悪役が背負った「報われなかった努力」と、切なすぎる初恋の記憶に胸を締め付けられていた。あの日、僕たちが受け取ったもの…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第71話は、映画の都・ホリウッドを舞台にした、極めてメタ的で映画愛に溢れたコメディエピソードである。クレオン・スティールバーグ監督の新作映画『ポケモン・イン・ラブ』の主役オーディション。ピカチュウやフシギダネなど、様々なポケモンが己の魅力をアピールする中、ヒロインのプクリンの相手役に抜擢されたのは、オーディションの意味すら分かっていないカスミのコダックであった。

この展開が秀逸なのは、「計算された演技」や「努力」よりも、コダックが生まれ持つ「ありのままのマヌケさ(天然の個性)」がクリエイターの心を動かしたという点だ。無理に自分を良く見せようとするのではなく、素の自分自身でいること。それが時に、誰にも真似できない最大の武器になるという、自己肯定感に満ちた痛快なメッセージである。

さらに物語の後半、ロケット団が撮影現場に乱入し、セットは大混乱に陥る。しかしクレオン監督は怒るどころか、そのドタバタ劇をカメラに収め続け、「これこそがリアルな映画だ!」と絶賛するのだ。トラブルや予定外のアクシデントすらも、エンターテインメントのスパイスとして取り込んでしまうクリエイターの狂気と大らかさ。完璧な台本よりも、現場で生まれる生々しい熱量こそが作品を面白くする。コダックの予想外の主演デビューは、僕たちに「人生という映画は、ハプニングがあるから面白い」と教えてくれたのである。

🕰️ 1998年11月5日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • 和歌山毒物カレー事件の容疑者再逮捕:直前の1998年11月3日、夏から日本中を震撼させていた和歌山毒物カレー事件で、林眞須美容疑者が殺人および殺人未遂容疑で再逮捕された。事件の真相究明に向け、メディアの報道が再び過熱していた歴史的な週である [1]。
  • 横浜ベイスターズが38年ぶりの日本一:1998年10月26日、権藤博監督率いる横浜ベイスターズが「マシンガン打線」と大魔神・佐々木主浩の活躍で日本シリーズを制覇。日本中が熱狂した歴史的快挙の余韻が、11月に入っても街を包んでいた [2]。
  • セガ「ドリームキャスト」発売直前の熱気:11月27日の発売を控え、セガの次世代ゲーム機への期待が高まっていた。「セガなんてダッセーよな!」という子供のセリフに落ち込む「湯川専務」の自虐的なテレビCMが社会現象となり、ゲーム業界の覇権争いに注目が集まっていた [3]。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:ALL MY TRUE LOVE/SPEED
  • 2位:終わりなき旅/Mr.Children
  • 3位:Burnin’ X’mas/T.M.Revolution
    (1998年11月9日付オリコンチャートより推計)
    SPEEDの圧倒的なパフォーマンスと、Mr.Childrenの壮大な活動再開ソングがチャートを牽引。T.M.Revolutionの季節を先取りしたクリスマスソングが加わり、J-POP黄金期の冬の始まりを熱く告げていた [4]。

街で流行っていたもの

  • スケルトンデザインの爆発的流行:この年の夏に発売されたAppleの「iMac」の影響で、10月21日に発売されたばかりの「ゲームボーイカラー(クリアパープル等)」など、中身が透けて見えるスケルトン仕様のアイテムが小学生の間で最もクールな持ち物として大流行していた。
  • 湯川専務のモノマネ:ドリームキャストのCMの影響で、学校の休み時間には「セガなんてダッセーよな!」というフレーズを真似する子供たちが続出していた。

あの日の続きを、もう一度。

計算された演技よりも、ありのままの「マヌケさ」が評価されたオーディション。そして、ロケット団の乱入すらも名シーンに変えた監督の狂気。大人になった今、あの日のホリウッドでのハチャメチャな映画撮影を、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第71話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] 和歌山毒物カレー事件 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E6%AD%8C%E5%B1%B1%E6%AF%92%E7%89%A9%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E4%BA%8B%E4%BB%B6
[2] 1998年の日本シリーズ – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/1998%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
[3] ドリームキャスト – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%88
[4] Template:オリコン週間シングルチャート第1位 1998年 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1998%E5%B9%B4

コメント

タイトルとURLをコピーしました