第77話「ポケモンリーグかいまく! みずのフィールド!」と、1998年12月17日の記憶。

第1-82話(カントー編)

冬の寒さが本格的になり、クリスマスや年末の特番がテレビを賑わせ始めていた12月中旬。
木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、日陰で努力してきた者が大舞台で一気に花開く「ジャイアントキリング」のカタルシスに熱狂していた。


第76話「ファイヤー! ポケモンリーグかいかいしき!」と、1998年12月10日の記憶。
本格的な冬の寒さが街を包み、クリスマスソングがどこからともなく聴こえ始めた12月上旬。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、これまでの長い旅の集大成となる大舞台の幕開けと、燃え盛る情熱の炎に見入っていた。あの日、僕たちが受け取ったも…
第78話「こおりのフィールド! ほのおのたたかい!」と、1998年12月24日の記憶。
クリスマス・イヴのイルミネーションが街を彩り、冷たい冬の風がコートの襟をすり抜けていた12月下旬。木曜日の夕方6時半、僕たちはブラウン管の前で、氷の上の不利な状況を逆手に取る「機転と信頼」の熱いバトルに夢中になっていた。あの日、僕たちが受け…

あの日、僕たちが受け取ったもの

第77話は、ついに開幕した「ポケモンリーグ・セキエイ大会」の初戦を描いた、王道のスポーツ漫画のような熱量を持つエピソードである。サトシが水のフィールドでの第1回戦で選んだのは、これまでオーキド研究所に預けっぱなしで、ほとんどバトル経験のないクラブであった。対戦相手のジャグラー・コームは「そんな小さなカニで」とサトシを嘲笑い、強力なナッシーを繰り出す。

事前のデータやエリートの計算からすれば、サトシの選択は「無謀」でしかない。しかし、アニポケの世界は常に「データでは測れない現場の熱量」を肯定してきた。クラブはナッシーの強力な「さいみんじゅつ」を根性で耐え抜き、その極限状態の中でキングラーへと劇的な進化を遂げるのだ。そして、進化したキングラーは圧倒的なパワーでナッシー、シードラ、ゴルバットを一人で3タテ(全抜き)するという、信じられないジャイアントキリングを果たしてみせる。

ずっとボックス(研究所)で留守番していた地味なポケモンが、大舞台で劇的な進化を遂げ、勝利をもたらす。それは、エリートの計算を泥臭い根性が上回るという痛快なカタルシスであり、同時に「日陰で努力していた者にも必ず光が当たる瞬間がある」という、人生における希望のメタファーでもあった。サトシのセオリーから外れた戦い方が、ポケモンとの絆と意外性で奇跡を起こす。いよいよ始まった本気の勝負の舞台で、これ以上ない最高の幕開けであった。

🕰️ 1998年12月17日 のタイムカプセル

あの日、僕たちが生きていた世界はどんな空気に満ちていただろうか。

当日の重大ニュース

  • 米英軍によるイラク空爆(砂漠の狐作戦):まさにこの日(日本時間12月17日)、アメリカとイギリス軍がイラクの軍事施設などに巡航ミサイルによる空爆を開始。国際社会に極度の緊張が走り、連日ニュースで緊迫した映像が報じられていた [1]。
  • 日本債券信用銀行(日債銀)の国有化:12月15日、経営破綻の危機にあった日債銀の一時国有化が決定。10月の長銀に続く大型金融機関の国有化であり、平成金融危機の連鎖が日本経済をどん底に突き落としていた [2]。
  • 宇多田ヒカルのデビュー:直前の1998年12月9日、15歳の宇多田ヒカルが『Automatic / time will tell』でデビュー。ここから空前のR&Bブームが巻き起こり、J-POPの歴史が根本から塗り替えられていくことになる [3]。

今週の音楽チャート(トップ3)

  • 1位:BE WITH YOU/GLAY
  • 2位:WINTER SONG/DREAMS COME TRUE
  • 3位:遠くまで/稲葉浩志
    (1998年12月21日付オリコンチャートより推計)
    GLAYの冬を彩る壮大なラブソングが2週連続で首位を獲得。ドリカムの冬の定番曲やB’z・稲葉浩志のソロ楽曲が上位に並び、J-POP黄金期の冬が本格的な熱気を放っていた [4]。

街で流行っていたもの

  • ファービーの大ブーム:この年の秋にアメリカから上陸した電子ペット「ファービー」が、クリスマスプレゼントの目玉として大流行。奇妙な言葉(ファービー語)を喋る愛嬌のある姿に、子供から大人までが夢中になっていた。
  • NINTENDO64と『ゼルダの伝説 時のオカリナ』:11月に発売されたばかりの歴史的傑作ソフト。冬休みに向けて、広大なハイラル平原を馬(エポナ)で駆け回る冒険に、全国の子供たちが寝不足になっていた。

あの日の続きを、もう一度。

エリートの計算を覆した、小さなカニの泥臭い根性。大舞台で花開いたキングラーのジャイアントキリング。大人になった今、あの日の水のフィールドでの奇跡の逆転劇を、もう一度見つめ直してみませんか。
[公式配信サイトで第77話を視聴する(Amazon Prime Video等)]


Sources(出典リスト)

[1] 砂漠の狐作戦 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E6%BC%A0%E3%81%AE%E7%8B%90%E4%BD%9C%E6%88%A6
[2] 日本債券信用銀行 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%82%B5%E5%88%B8%E4%BF%A1%E7%94%A8%E9%8A%80%E8%A1%8C
[3] Automatic/time will tell – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Automatic/time_will_tell
[4] Template:オリコン週間シングルチャート第1位 1998年 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E9%80%B1%E9%96%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E7%AC%AC1%E4%BD%8D_1998%E5%B9%B4

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